コハクチョウ (Tundra Swan) L120cm W177cm
(撮影地~北海道新ひだか町静内・静内川)
<概要>
くちばしの黄色い部分がやや小さくオオハクチョウに似たハクチョウ。青森県小川原湖、福島県猪苗代湖、滋
賀県琵琶湖、鳥取県中海などが主な渡来地であるが、主に本州の中部より南の地域に多く、オオハクチョウと
は住み分けができている。これは、コハクチョウの方が身体が小さく、体温の維持に相対的に多くのエネルギー
がいることによると考えられている。
ユーラシアと北米大陸の寒帯でオオハクチョウよりは北の地域で広く繁殖し、日本には冬鳥として渡来、オオ
ハクチョウと同様に冬鳥の代名詞。くちばしの殆どが黒いアメリカコハクチョウも稀には記録される。オオハクチ
ョウ同様にこのハクチョウも年々、越冬数が増加傾向にある。青森県では県の鳥として指定されている。
<生態>
越冬地での生態は、湖や沼、大きな川、河口、内湾などで生活し、オオハクチョウとよく似ている。家族群を単
位としたれで生活し、水草を主な餌としている。水面から飛び立つ時は、水面を蹴るように10数メートル助走し
空へと舞い上がる。
休息する時は、長い首を背面に折り曲げ、頭を背中の中に入れていることが多い。警戒すると首をいっぱい伸
ばし、辺りの様子をうかがうのは、マガンなどと同様である。
繁殖地では、湖の浅瀬や水辺の地上に、枯れ草や藻類で火山のような円錐形の大きな巣を作り、3~5個の
卵を産む。抱卵日数は29~30日程度である。
<声>
オオハクチョウより似ている声ではあるが、「コホツ、コホッ」と短めに鳴くことが多くオオハクチョウほど、うるさく
鳴かない。飛翔中は「コォー、コォー」という声を出す。
<見分方法>
コハクチョウより身体が小さく、くちばしの黄色部分がオオハクチョウより小さい。しかし、このくちばしの形状パ
ターンが色々あるので、個体の識別にも使うこともある。
ナキハクチョウ (Trumpeter Swan) L150~180㎝ W230~260㎝
(撮影地~北海道帯広市帯広川)
<概要>
ハクチョウを含めたカモ科の中では最大種でアメリカ北西部、カナダ西部に繁殖し、アメリカ太平洋岸、大西洋
岸で越冬するが、日本には稀に迷鳥として確認される程度で、2005年(平成22年)10月24日以降、11月まで
北海道帯広市の帯広川で羽根を休めた。これは国内では1934年、空知管内月形町で発見されて以来実に72
年ぶりに確認され、国内でも4例目であり話題となった。
<生態>
鳴き声がラッパのように低いが鋭く響くので、英名でトランぺッタースワンの名がついている。1970年調査で
は世界で僅かに4000羽となっている希少種でもある。
河川、湖沼、湿原、内湾などに生息。渡りは行うが長距離の渡りは行わない。食性は多のハクチョウと同様に
植物食で水草の根、種子などを食する。見るからに精悍な顔つきで気性は荒い印象を受けるが実際は分からな
い。
カナダ・オンタリオ州にはもともとナキハクチョウが生息していたが、狩猟、また幼鳥のショットガンの玉の誤飲
による鉛中毒などによって個体数は激減し、オンタリオ州から姿を消してしまった。1982年にトロント動物園がナキ
ハクチョウの再生プロジェクトを始め、現在では250羽以上のナキハクチョウが南オンタリオに生息している。そのた
めトロント近郊でみられるほとんどのナキハクチョウには個体識別用のタグがついている。
<声>
「ブォーッ、ブォーッ」
<見分方法>
見た目は、アメリカコハクチョウと似ているが、体の大きさが違いナキハクチョウの方が一回り大きい。
コブハクチョウ (Mute Swan) L152㎝
(撮影地~北海道苫小牧市・ウトナイ湖)
<概要>
名前通り額の前に瘤(こぶ)があるハクチョウであるが、日本には皇居のお堀や各地公園などで見かけるが、
本来国内では生息していない外来種。従って日本では野鳥とはならない。
イギリスなど、ヨーロッパの西部・中部、モンゴル、中国とロシア国境を流れるウスリー川流域など、
中央アジアを中心に生息するで繁殖。アジアで繁殖するものは冬は中国東部、北朝鮮、韓国など渡る。
1933年11月には八丈島で迷鳥としての記録がある。
<生態>
主に平地の湖沼、河川、内湾で生息する。日本では公園等の飼育、観賞用として移入されてきたもの
が逃げ出し野生化したもので、北海道でも七飯町大沼、苫小牧市ウトナイ湖などで繁殖している。
餌は、マコモなどの植物で餌付けされている個体もいる。水辺にヨシや水草を積み重ねて大きな巣を作
り産卵数は5~7個、メスが抱卵し育てる。
<声>
「バウー、バウー」
<見分方法>
額のコブ。他のハクチョウでコブがある個体はいない。しかし、幼鳥にはコブは殆どない。
コクチョウ (Black Swan) L120~130㎝ W200㎝
(撮影地~滋賀県長浜市・長浜城)
<概要>
見たとおり黒いのでブラックスワン、コクチョウ(黒鳥)との名がつくがハクチョウの仲間。オーストラリア、ニュー
ジーランドに生息。オーストラリア内陸部の乾燥地帯を除く全土に生息している。オオハクチョウやコハクチョウな
などのように渡りは行わず、季節や環境の変化により国内移動する漂鳥で、オーストラリア唯一の固有のハクチ
ョウ属。
<生態>
本来、日本には生息しないが、茨城県水戸市・水戸偕楽園、滋賀県長浜市・長浜城、新潟県水原町・瓢湖など
の全国の公園で飼われてている飼い鳥で野鳥ではない。
くちばしは赤く、先端付近に白色の斑点がある。虹彩は赤色。羽毛は全体が黒色だが、初列風切羽から二列
風切羽の外側にかけてが白色。
幼鳥は羽毛は白色でくちばしは黒色、成長するにつれて羽毛が黒くなり、くちばしは赤褐色から赤色へと変わ
っていく。食性は草食性で、主に水草を食べる。また、水辺に近い場所や陸上でも、採食することがある。
繁殖期は場所によるが4月から9月。つがいは一生の間、継続する。コクチョウは湖の浅瀬や島に草を積み上げ
た直径約1.5mの巣作る。
普通、毎年同じ巣を利用し、必要があれば修復したり立て直す。通常、4-6個を産卵し、雌雄ともに抱卵する。
オスとメスは共に巣を守り、一旦ひなが飛べるまでに育つと、家族でえさを探す姿が良く見られるようになる。
乾燥期に湖沼の水が少なくなると水を求め、数百羽の群れになり移動を行う。夜間飛翔することが多い。
<声>
「フォー、フォー」
<見分方法>
コハクチョウ程度の大きさであるが、羽根が黒いので見間違えることはない。但しも国内に野生種はいない