北国では日頃見かけるハクチョウ、世界には何種類生息しているのでしょうか。
正解は6種類ですが、6種のハクチョウの特徴、生態などを写真と共に紹介します。
学術的にハクチョウ(白鳥・SWAN)は、マガン、ヒシクイやマガモなど多数の
カモと同じガンカモ目/ガンカモ科に属し、水辺に生息する野鳥で渡り鳥です。
多くのハクチョウは、繁殖期と越冬期が異なります。例えば日本に冬季に渡っ
て来るオオハクチョウやコハクチョウは、春(4~5月)から秋(10~11月)迄は
極東北部で生息、繁殖活動を行い子育などをします。
しかし、冬は大量の降雪で餌となる地上の水草などが採食が出来なくなります。
また、ねぐらとする湖沼なども結氷し使用できなくなるなど、厳しい自然条件で
は生息することが出来ないため、秋(10~11月)、仕方なく南に位置する日本な
どに移動し春(4~5月)まで越冬します。
この移動を渡りと言い、その鳥たち渡り鳥と呼びます。また、冬に日本で生息
するので冬鳥とも言います。
日本で越冬するハクチョウの生態は「日本のハクチョウ」ページで詳しく紹介
しますが、ここでは世界に生息するハクチョウについて触れてみます。
ハクチョウは、水鳥としては非常に大型の鳥で、全長が(嘴から尾まで)110㎝
~150㎝もあります。
世界には、オオハクチョウ、コハクチョウ、ナキハクチョウ、コブハクチョウ
コクチョウ、クロエリハクチョウの6種がおり、その内、国内では定期的に渡来し
越冬する個体としては体の大きなオオハクチョウ(大白鳥)、体の小さなコハク
チョウ(小白鳥)の2種が生息します。
春から秋までその多くは、シベリア、ヨーロッパ、アジア大陸北部、オホーツ
ク海沿岸、北アメリカなどで繁殖し、冬季は温暖な日本、中国、韓国などへ渡り
越冬します。
しかし、羽根が黒いコクチョウはオーストラリア固有種で、クロエリハクチョ
ウも南米(アルゼンチン、チリ)でこの2種は南半球で繁殖、生息しています。
野鳥は、総じて体が大きな個体は長生きをしますが、ハクチョウの寿命は一般
的には約15年程度、最長で20年と言われております。
名 称 国 内 生息地(繁殖・越冬) オオハクチョウ 生息(越冬) ユーラシア大陸
コハクチョウ 生息(越冬) ユーラシア大陸、北米 ナキハクチョウ 稀に確認 北極圏(アラスカ等)、北米 コブハクチョウ 外来種(公園、動物園) ヨーロッパ北部、中国、韓国 コクチョウ 外来種(公園、動物園)
オーストラリア、ニュージーランド クロエリハクチョウ いない 南アメリカ南部
(松井 繁 「雪国のハクチョウ」より転用)
オオハクチョウ (Whooper Swan) L141cm W225cm
(撮影地~北海道新ひだか町静内・静内川)
<概要>
くちばしの付け根の黄色い部分が先の黒い部分より大きい。北海道で越冬するのはほとんんどがオオハクチ
ョウである。
長い首を伸ばして飛ぶ大型のハクチョウ。ユーラシア大陸の亜寒帯で広く繁殖し、日本へは冬鳥として渡来す
る。主に北日本や日本海側の地方で越冬し、北海道・尾岱沼、青森県・大湊湾、宮城県伊豆沼、新潟県瓢湖な
どがオオハクチョウの越冬地として名高い。
近年、他のガン類もそうであるが、年々、個体数が増加しており、観光を目的とした給餌も各地で行われてい
る。アイヌ語ではレタッチリ・カムイといいい「白い鳥の神」という。青森県、島根県では県の鳥に指定されている。
<生態>
越冬地では、湖や沼、大きな川、河口、内湾などで生活している。番(つがい)と前の繁殖期に孵化した1~6
羽の幼鳥と親鳥からなる家族群が行動の単位で、それらの集団が数十羽から数百羽の群れを作って集団で生
息する。
内湾では、アマモ、湖ではアシ、ガマなどの水生植物の茎や根を主な餌とし、長い首を水中に突っ込んだり、更
には上半身を水中に入れて逆立ちをしながら採食をする。
給餌では、昔は茶がら、現在ではパンくず、トウモロコシ、麦類、などの穀物がまかれているが、これについて
は北海道厚岸湾などで自然採食に対する弊害などが確認されており、必ずしも採食活動が評価される時代では
なくなってきている。繁殖地では、水辺の地上や浅瀬に枯れ草などで大きな巣を作り、5~6個の卵を産む。
<声>
「コォー、コォー」とやさしく鳴いてから、互いに首を上下させ、賑やかに「コホー、コホー」と鳴き交わす。オスとメ
ス、家族同士も「コーコーコー」と鳴き交わす。
<見分方法>
コハクチョウより身体が大きく、くちばしの黄色部分が大きいので直ぐ分かる。